マッキンゼー式リーダー論

まんがでわかる!マッキンゼー式リーダー論(赤羽 雄二 著/星井 博文 シナリオ制作/大舞 キリコ 作画)

名プレーヤーは必ずしも名リーダーにはなれない

野球やオリンピックで名プレーヤーと言われていた人達が、コーチとしてチームを率いる事になった途端、そのチームの成績がガタ落ち。

それと同じように、同期の誰よりも仕事ができ、上からの評価も他アック、多くの成果を挙げている人達が、自ら上司やチームリーダーの立場に立った途端に、うまくいかない……そんな状況は少なからず見たことがあると思います。

 

プレーヤーのときは、上司から言われた仕事を自分でこなせば良かったのですが、チームリーダーとなると、なにもかも自分でやるのではなく、「部下を使って成果を出すこと」が求められるからです。

部下は優秀な部下もいれば、ある程度指導が必要な部下もいて、それそれの素質にあった接し方をしないと、すぐに彼らのやる気が下がったり、仕事が空回ったりしてしまいます。

部下をマネジメントするリーダーの役割は、

部下に目標を与え、やる気を出させること、部下にチームプレイとコミュニケーションの仕方を教えること、そして結果に繋がるまでリードすること

これには、プレーヤーとしてのスキルとは全く別物のスキルが必要となります。

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あらすじ

本書は、以前読んだ「マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング」の続編という設定になっています。

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マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング

前作でマッキンゼー式ロジカルシンキングを身に着けた桃子の同僚で常に優秀だった名プレーヤーの美玲が今回の主人公。

彼女はチームリーダーとして、ある村起こしのプロジェクトを任されますが、そのチームには、

  • 優秀だけど自信過剰でワンマンプレー気味の26歳
  • やる気はあるけどスキルがイマイチな23歳
  • 以前はバリバリ働いてスキルも高いけれど現在はやる気をなくしてしまっている43歳
  • やる気もスキルも感じられない27歳

というややクセのある人達ばかり。

最初はチームをうまくまとめられず苦戦し、彼らからの信用も得られませんでした。

そんな彼女に、桃子の彼がマッキンゼー式のリーダー論を教えていきます。

 

初めはバラバラだったチームも、一人ひとりやる気とスキルを身に着け、プロジェクトは大成功に終わりました。

 

マッキンゼー式リーダー論

リーダーシップとは

本書によると、リーダーシップとは、

  1. 部下、チームにビジョンを示す
  2. そのビジョンを達成できる具体的な方針を示す
  3. メンバーそれぞれが何をすべきか役割分担を明確にする
  4. それぞれにやる気を出させてみんなの気持ちをひとつにする
  5. 無理だろうと思っていた高い目標であっても、なんとか達成できるようにする

という事になります。

①のためには、その部門、チームが果たすべき役割と会社の置かれた状況をよく理解し、ワクワクするビジョンを描いて見せる必要があります。

②のためには、問題把握・問題解決力が高く、将来を見通して、こうすればできるはず、という仮説と信念を持って語れる必要があります。

③のためには、メンバーそれぞれの強みと過大を把握し、最適と思えるような布陣を敷く必要があります。

④のためには、部下やメンバーとこころの通ったコミュニケーションをし、メンバー間のノイズをなくして目標に向かって取り組ませる必要があります。

⑤のためには、極めて困難な目標であっても諦めず、自身を失わず、メンバーを鼓舞し、自分が先頭にたって、難題を解決していく必要があります。

アクティブリスニング

優秀なプレーヤーほど、「自分でやったほうが早い」と考えて、部下に期待するのをやめてしまって孤軍奮闘してしまいます。

けれども、一人でやるのには限界があり、チームとして生産性を上げることはできません。

優秀なリーダーは部下から仕事を取り上げたりせず、部下をどうやって活かすかに最大限注力する こと。

そのために重要なのが、

積極的に話を聞くこと(アクティブリスニング)

です。

アクティブリスニングのポイント

相手の話を遮らずに最後まで聞く

部下にとって、「わかったこういうことだろう」と早合点され、間違った指示や行動をされることほど、面倒なことはありません。

部下の話の腰を折ることなく、言いたい事を全部吐き出してもらう ほうが、部下の満足度もあがります。

相手に聞いている姿勢が伝わるようにする

こちらの聞く姿勢が相手に十分に伝わるようにすることが大切です。

そのためには、

  • 「なるほど」「そうですか」「それは知らなかった」「素晴らしい」という声出しを積極的にすること。
  • 身を乗り出して聞くこと
  • メモを取りながら聞くこと

などが功を奏します。

疑問点はその場で質問する

先に、「話の腰を折ってはいけない」と書きましたが、

疑問点があれば、その場ですぐに質問 します。

まとめて最後にいろいろ聞こうとすると、話を聞いているうちに疑問点がうやむやになってしまいます。

ホワイトボード活用術

リーダーの重要な役割のひとつに、会議のマネジメントがあります。

有意義な会議のための3つのステップ
  1. 会議目的を明確化する
    • 会議の課題・目的が明確で、その開催のニーズがはっきりとしている
  2. 事前準備をする
    • 参加者も適切に選定されている
    • 課題は、事前に参加者に伝えられ、必要ない資料なども事前に配布されている
  3. リーダーが会議を進行し、結論へ導く
    • ホワイトボードを活用すると効果的

 

ポイントは、

  1. リーダー自らが書く
  2. 発言内容は短い単語ではなく、文章のままで書く
  3. 意見が対立したときはホワイトボードの左右に分けて論点を整理する

アウトプットイメージ作成アプローチ

「自分でやったほうが早い」症候群の次にくる症状が、「メンバーや部下に仕事を丸投げする」症候群。

ろくに説明せず、またメンバーや部下がどういう仕事を抱えているか、どういう余力があるかも考えず、ただぽーんと丸投げしても、現場はうまく仕事をこなすことができません。

では、どのように指導していけばよいのでしょうか。

本書で勧められているのが、アウトプットイメージ作成アプローチ です。

方法は下記。

アウトプットイメージ作成アプローチ
  1. リーダーが自ら大まかな構成案を書く
  2. コピーを渡して最初から最後まで一通り説明し、取り組んでもらう
  3. 頻繁にミーティングを重ね、進捗状況をチェックする

成長曲線

業績・成長目標合意書

部下のやる気は上司が9割

もし態度の悪い部下がいたら、それには大抵理由があります。

やる気がなかったり態度が悪かったりする部下がいたら、その特効薬は

部下の話を聞くこと

アクティブリスニングを大いに活用し、部下の態度が悪い原因を話してもらうことが大切です。

 

部下のやる気を向上させるには、本人と真剣に向き合うことが大切で、そのために効果的な方法として本書で紹介されているのが、

業績・成長目標合意書 です。

業績・成績目標合意書は、上司が部下の成長を加速するため、A4用紙一枚の中に

  • 長所
  • 成長過程
  • 業績目標・成長目標
  • 成長課題への本人の取り組み
  • 成長課題への上司の支援・コーチング

を下記、本人と合意できるように作成したものです。

厳しい上司も本当に言いたいことは部下に言えなかったりしますが、

業績・成長目標合意書を使えば、長所を述べた後なので、成長課題を遠慮なく伝える事ができます。

しかもそれに対して成長目標とアクションまで合意するので、言いっぱなしになりません。

業務・成長目標合意書

業績・成長目標合意書のポイント

1. 人事考課ではないことを伝える

最初に、「部下やチームメンバーの成長を最大限仮想するため、業績・成長目標合意書がある。人事考課ではない」という事をはっきりと伝えておきます。

そして、上司がたたき台を記入し説明するものの、あくまでドラフトであり、部下のフィードバックを反映して修正することを説明します。

2. 長所を十分につたえる

長所は具体的に7-8個書きます。

また、書く際は重要な順に上から書きます。

3. 短所ではなく、成長課題と考えて伝える

成長課題は具体てkいに5-6個書きます。

長所よりは少なくし、とくに大事なものに絞って書くほうがよいです。

感情的な表現、避難と取られるような表現は酒、本人が見ても納得感のある表現を使うよう心がけます。

4. 3ヶ月、6ヶ月後に白黒つけられる成長目標を伝える

成長課題についてすり合わせができた後は、業績目標・成長目標のすり合わせい移ります。

成長目標は③で合意した成長課題に対応させて書きます。

全項目を対応させるのは大変なので、特に重要なもの、最速で改善すべき項目について設定 します。

5. 本人と話しながら、成長課題としての取り組み・上司の支援を書き込む

本人の取り組みも他と同様、成長目標達成のため本人がどう取り組むのかを案として先に書いておき、面談で確認しながら確定させていきます。

テンプレート

隔週のミーティングと3ヶ月毎の個人面談

業績・成長目標合意後は、隔週で20分程度のミーティングをして、フィードバックをしていきます。

このときのフィードバックで大切なポイントは3つ。

  1. 部下がPDCAを回せるようにフィードバックする
  2. ポジティブ・フィードバックを心がける
  3. すぐできることを具体的に助言する

私の感想

一人でできることには限界があり、私にとっては、どれだけの人に気持ちよく働いてもらえるかが、今後の重要課題となります。

人は、モチベーションによって生産性に大きな差がでるし、その後の発展に最も大きく関わってくるので、

部下一人ひとりのモチベーションを維持する事が大切です。

 

本書にはそのためのヒントが凝縮されており、大変勉強になりました。

業績・成長目標合意書まではちょっと難しいかと思いましたが、

個人ミーティングはうちのボスもやっており、一人30分時間をとって毎月進捗状況を報告したり相談したりしています。

時間を確保するのは大変ですが、それだけ価値のある事だと思いますので、

私も実践していきたいと思います。

 

8万部突破の『マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング』の第2弾は、「リーダーシップ」がテーマです。マッキンゼーでは、採用や人材育成において、「ロジカルシンキング」とともに、世界に通用する「リーダーシップ」が重視されます。

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