「繊細さん」の本

「繊細さん」の本(武田友紀)

「繊細さん」の本

「あなたって、繊細なのね。」

これは、私の修練医時代、心身ともに疲れ、 仕事にならなくなってきた頃、 女性の上司から言われた言葉です。

(この後、私は2週間仕事を休む事になりました。)

 

  去年、

Highly Sensitive Person (HSP)

という言葉を初めて知り、

「ああ、私はHSPなんだ。」

と強く納得しました。

 

  HSPは、1990年代にElaine Aron博士によって命名された気質の事で、

人口の約20%の人達がこの気質を持つと言われています。

Aron博士によると、HSPには「DOES」と名付けられた特徴があり、

私には下記のような気質が全て当てはまります。

 

Depth of Processing考え方が複雑

    • お世辞や嘲笑を見抜く
    • 物事を始めるまでにあれこれ考え、時間がかかる
    • その場限りの快楽よりも、生き方や哲学的な物事に興味があり、浅い人間や話が嫌い

Overstimulation:刺激に敏感で疲れやすい

    • 人混みや大きな音が苦手
    • 友達との時間は楽しいものの、気づかれしやすく、帰宅するとどっと疲れる
    • 映画や音楽、本などの芸術作品に感動して泣く
    • 人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れない
    • 些細なことに過剰なほど驚いてしまう

Empathy and Emotional Responsiveness:人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい

    • 人が怒られていると自分のことのように感じ、傷つく
    • 悲しい映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣する
    • 人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感で、機嫌や思っている事がわかる
    • 言葉を話せない幼児や動物の気持ちを察する

Sensitivity to subtleties:汎ゆる感覚が鋭い

    • 冷蔵庫の機械音や時計の音が気になる
    • 強い光や日光の眩しさなどが苦手
    • 近くにいる人の口臭やタバコの匂いで気分が悪くなる
    • 肌着のタグなどチクチクする素材が我慢できないほど気になる
    • 第6感が働き、よく当たる

  私は、突然人から声をかけられると、必要以上に驚いてしまい、

よく、声をかけた人に「驚かせてごめん。」と言わせてしまいます。  

細かい事を気にしすぎて、色々生きにくいと思うことも多いです。

特に、アメリカに来てから、 日本のように「行間を読んで」はくれない人達と接する機会が多くなり、

必要以上に傷ついたり、 ストレスを感じたりする事が増えていると思います。  

本書は、そんな私に向かって、

「そのままでいい。」

「自分のままで元気に生きてゆける。」

と、優しく諭してくれました。  

 

まず、本書ではHSPという言葉を避け、

「繊細さん」 と命名してくれました。  

そして、HSPでない人達は 「非繊細さん」。  

 

著者も繊細さんの気質を持ち、それ故に辛いことを経験してきたため、

繊細さん達が陥りやすい辛い気持ちを理解し、

どうすれば繊細さんの気質のままで元気に過ごしていけるのか、

色々な側面からアドバイスしてくれます。  

 

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刺激から自分を守り、毎日のストレスを防ぐ技術

繊細さんは、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、が人よりも敏感ゆえに、 ちょっとした刺激がストレスとなることが多いです。

これらの刺激を減らすための工夫が色々紹介されています。  

私の場合は、 聴覚 ≧ 視覚 ≧ 触覚 > 嗅覚 > 味覚 の順で敏感だと思います。

    • 仕事中はヘッドホンでひたすら雨音を聞く
    • 照明を暗めにする
    • 寝る時は肌触りのよいタオルを足に巻く

などは、私も心の平穏を保つために普段から心がけていました。  

最近、COVID19による大学閉鎖が一部解除され、 ラボでの仕事が再開となりました。

ただ、まだPhase IIでSocial Distanceが必要なので、 私は同室の人達と一緒にならないように部屋が移動となりました。  

同僚と離れて一人でいる部屋は、正直かなり落ち着きます。  

今度、自分の気質と現状をラボマネージャーに話し、 Social Distanceが解除されても今の部屋にいさせてもらえるよう、 お願いしてみようかと思います。  

 

人間関係を楽にする技術

繊細さんは、 「相手の ”わからない” という感覚がわからない」 そうです。

そのため、配慮が足りない人に振り回される傾向があります。  

まずは、 「配慮が足りない人は、配慮が『できない』のだ」 と理解すること。

これだけでも不要なストレスを減らすことができます。  

 

また、大切なことは、

「相手が自分にどう動いてほしいか」

という配慮を元に行動するのではなく、

「自分がどうしたいか」

を元に行動する事。

 

そして、 「素の自分を出す」事。

そうすると、驚くほど楽になれるのだそうです。  

 

肩の力を抜いてのびのび働く技術

考え疲れや緊張疲れを減らすために。

マルチタスクで押しつぶされないよう、 「一つ一つやっていこう。」  

優先順位をつけるのではなく、 絶対に今日やらなければならない大切な仕事を、 一つだけ選び、それをする。  

 

色々気づくのは繊細さんだから。

 

でも、気づいたことに対して全て対応していたら体と時間がたりない。

自分の行動を、「気づく」「対応する」に分けて考え、

どれに「対応する」かは自分で決める。  

 

自分がほんとうに「いい」と思えることを仕事にする。  

不機嫌な人は、放っておく。

  自分の得意を活かす事に対してだけ頑張る。  

 

自分を活かす技術

「自分の繊細さには、いいところがたくさんある」 と気づくこと。

例えば、人の気持ちを理解することができるなど。  

私の場合、 多分長男もHSPだと思うのですが、 彼の繊細さ故に降り掛かってくる困難について、 理解する事ができると思います。  

「非繊細さん」である夫は、 「繊細さん」である長男の言動を理解できないことが多いです。  

そんな時、私なら、長男の気持ちを代弁して、夫に説明することができます。  

今まで、HSPの気質のせいでしんどい思いも多くしてきましたが、 HSPでなければ気づかない事もたくさんあったと思います。  

この本に書かれてある事を参考にしながら、

「素の自分」 を出し、

「自分を好きに」なれるよう、 少しずつ変わっていきたいです。    

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