世界中のあらゆる職業で重視される「一流の基本」を、一冊に凝縮
著者のムーギー・キムさんについては存じていなかったのですが、タイトルが強い印象を放っていたので、手にとってみました。
彼自身は、有名進学校を出て、一流企業に努め、世界で活躍する超エリートという部類に入ると思うんですが、その自身を極限にへりくだり、
「自分の上司、部下、周囲の人達がどれだけ凄いか」
という書き方で終始徹底していて、
読み手が萎縮せずに内容に入っていけるよう、至るところに言葉の工夫が施されていました。
そして、なんと言っても 話の内容が面白い!
「最強の働き方」の内容
本書に書いてあることは、平たくいうと
「よくある、ビジネスで成功するためのノウハウ」なわけですが、
その前後に彼独自のユーモアをこれでもかと混ぜ込んでいるので、読んでいて全く退屈しませんでした。
内容の構成としては、
対象の読者層は、新人社会人から始まり、中堅、管理職……と、徐々に階層が上がっていく仕組みになっていて、
どの章から読んでも勉強になります。
第1章:仕事の基本(新人向け)
メールの書き方
- 即リプの重要性
- 文字数のリストラ
- etc...
メモのとり方
- 鉄壁のメモ取り魔
- ピラミッド構造
- etc...
資料作り
- シンプルに1枚で要約
- アウトプット・イメージの全体像を最初に共有する
- 小さなミスを許さない
- etc...
その他
- 話し方
- プレゼンの仕方
- 整理整頓能力
- etc...
目からウロコだった内容としては、
「フレームワーク、MECE、ロジックツリーを考えすぎていてはダメ!」
という事が書かれていた章でした。
そのあたりのノウハウが自然に考えられるようになりたいと思っていたのですが、
「もっと大事な事がある」
と、くどくど諭されました。
第2章:自己管理(新人から中堅向け)
- 時間管理(眠りの質、優先順位 etc.)
- 外見管理
- 健康管理
- ストレス管理
- 学習習慣
- etc...
など、社会人として自分の体と心に投資する事の重要性について、これまた著者独自のユーモアあふれる表現で記載されていました。
第3章:マインドセット(中堅向け)
主体性を持つ
- 上から降ってくる仕事は当然つまらない。やりたい仕事を見つけてやったモノ勝ち
- 能動的に「仕事の起点」になる
- etc...
先見の明を持つ
- 状況に反応するだけでなく、状況を作り出す
- アーリームーバーだけが大勝ちする
- etc...
目線を高める
- 仕事の質にこだわる
- 危機感と競争意識を持つ
- 期待を上回る
- etc...
このあたりの章は、個人的に当てはまる事が多かったので、何度も読み返したいと思いました。
第4章:リーダーシップ(管理職向け)
一人でなんでもこなせる人は、そこで終わる。
周りから支えてもらえる人はその先が広がる。
私は今まで自分ひとりでできることを増やしていっていましたが、いつまでもその状態だと先がないと思い、どうやって人々とつながり、シナジーを作っていけるかについて最近ずっと考えていました。
本章には、そのヒントになりそうな事も、いくつか書かれていました。
- 人を大切にする
- 信頼を大切にする
- 悪い情報を先出しする
- 部下を尊重する
- 部下に得をさせる
- 部下に成長させる
- 部下を引き締める
- ロールモデルになる:規範を背中で示す
- etc...
特に、「カネを払ってでも、部下に面白い仕事をさせる」という章は、「そうだよなー」と納得しました。
短期的利益を多少犠牲にしてでも、彼らにやりがいを感じてもらい成長してもらう事を優先すべきだと思います。
あと、「部下を引き連れて辞められる人が大成する」という記載にはハッとさせられました。
私達の世界にも、上司がどこかの大学の教授になったときに、それについていく人達と、元の大学に残る人達に別れます。
その人についていきたい、ついていった方が自分のためになる、と思える人物になれるかどうか……。
その信頼関係は一朝一夕では築けないものですね。
第5章:自己実現(色々な層の人達向け)
自分を知り、自分を自由にする
好きなことをする
- 好きな仕事を全部する
- 強みを活かす:勝てる分野で勝負する
- 使命感を活かす
- 存在意義をかけて働く:「自分が働く理由」に納得する
- 自分の価値観。問題意識の原点を見つめる
- 自分の価値観・問題意識の原点を見つめる
- etc...
周囲を巻き込む
- ビジョンを掲げる
- 「高い目線と志」に人・カネ・社会がついてくる
- 自分の「社会的使命感」を掲げる
- 組織を作り込む
- 自分がいなくても回る組織をつくる
- 自分より優秀な人を集め、気持ちよく働く動機づけをする
自由に生きる
- 捨てる勇気を持つ
- 5年で死ぬなら何をするか
- いま挑戦しない人は、ずっと挑戦しない
- 世間体に惑わされず、自分に正直に
最後の章は、どんな人でも壁にぶつかったときに読むべき内容だと思いました。
自分の人生の目標について、この年になって悩み始めた自分にとっては、ハッとさせられる記載も多くありました。
これからの数十年をどう生きるのか、そのために何を捨て、何を死守すべきなのか、
私の中ではまだ定まってはいませんが、この本は、折に触れて読み返していきたいと思います。