1分で話せ

1分で話せ(伊藤 羊一)

1分で話せ

先日、

「ラボのボスにリサーチプロジェクトを提案する」

という個人的な一大イベントがありました。

 

以前所属していた優しいラボと違って、ここでは

「ダメといったらダメ!」ってな感じで

ボスから感情的な言葉で全否定されるので、

どのようにプレゼンを進めていくかは死活問題です。

 

因みに前回は失敗し、

今はボスから指示されたやりたくない作業を

ひたすら続ける毎日を送っています。

 

よくよく考えると、

学会でのプレゼン方法はある程度勉強していましたが、

「上司にプロジェクトを提案する」

場合のプレゼン方法は勉強していなかった事に気づきました。

 

言われた事をこなすだけの毎日から離脱するために、

今回のプレゼンは絶対に失敗したくない・・・

と思い、プレゼン資料をまとめる前に、この本を読みました。

 

感想は、

「この本を知ってよかった」

です。

 

一見当たり前のように感じる内容でも、

自身を振り返ると何もできていなかった事に気付かされました。

 

この本は、7つの章で構成されています。

 

各章、自身の状況に照らし合わせ

今回はボスにプレゼンする場面を想像しながら読み、

それぞれ自身のアクションプランをノートに書き込んでいきました。

 

著者によると、

「1分でまとまらないことは、何時間かけて話しても伝わらない」

「左脳でロジックを理解し、右脳で感じて、人は動く。」

とのこと。

 

そして、プレゼンの目的は、

「相手を動かしてなんぼ」

この目的を達成するために汎ゆる努力をすべし!

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伝えるための基本事項

まず、プレゼンの準備をする段階で、

  • 相手は誰か
  • その人はどんな事に興味があるか

という前提をしっかり意識する必要があります。

相手のイメージに基づいて、伝える内容を作り上げるのです。

 

その上で、

  • このプレゼンのゴールは何か
  • 自分に求められている事は何か
  • 相手はこのテーマについてどれだけの事を知っているか
  • 相手は何に対してネガティブか

を書き出し、目的と方法を明確にします。

これは非常に役に立ちました。

なんとなくポイントと考えている事が、項目毎に書き出してまとめる事で、より具体性を持ってイメージできました。

 

そして、プレゼンは

「相手を動かしてなんぼ」

なので、相手が動いてくれるために

  • プレゼン前の根回し
  • 席配置
  • 直前の軽い挨拶
  • プレゼン後のフォロー

等、前後のアクションもトータルで設計し、

できることは何でもします。

 

私は今回、

前日にボス達にPDF化したスライドを送り、

当日どのような内容を話すかざっくりと伝えておきました。

また、

「あの時ポジティブなコメントをくれた○○のプロジェクトの事ですが」

のような言葉を入れ、一度自分達がポジティブな反応をしていた事を想起させるようにしました。

1分で伝える
ー左脳が理解するロジックを作る

ロジックと一言で言ってしまうと簡単ですが、

この本を読んで、自分はロジックができたつもりになっていただけだったと気づきました。

著者は「ピラミッドでロジカルにストーリーを考える」と説明していますが、

このピラミッドのてっぺんは、「結論」です。

最も大切な事は、

「結論を先に!」

 

まず結論を話し、その後に根拠を複数(ベストは3つ)続ける。

その時、

「理由は3つあります。」

のように言うと、聴衆は必ずメモをとりだす・・・

 

魔法のようですが、実際にそうだと思います。

まず結論を示す事で、自分がこれから何を主張したいのかを伝え、相手にイメージを持ってもらう。

その後、その根拠を示すことで、ロジカルに理解してもらう。

 

プレゼンというのは、

自分が伝えたい事を伝えていく行為ではなく、

相手の頭の中に、

自分が伝えたいことの骨組みや中身を『移植』していく作業

 

とのこと。確かに!

 

 

この内容を受けて、私はスライドの1枚目に、

"Why do I propose ○○ project? "

というタイトルのまとめスライドを作り、

「主張」
   ↓
「根拠1」「根拠2」「根拠3」

と箇条書きにして説明するようにしました。

相手を迷子にさせないために
「スッキリ・カンタン」

著者によると、一瞬でも聞き手が迷子になるとプレゼンが台無しになるとのこと。

これは私自身にも身に覚えがあります。

誰かの発表を聞いている途中でわからない事があると、それに気を取られて話についていけなくなり、

気がついたら話が終わっていた、という感じです。

 

グラフ、グラフタイトル、中学生でもわかる言葉etc.

これでもかと工夫し、聞き手が迷子にならないようにしなければなりません。

 

私の場合は、

グラフ等を論文のコピペではなく、

全て趣旨に沿って強調できるよう作り変え、

全てに短いタイトルを入れる事を徹底しました。

1分でその気になってもらう
ー右脳を刺激してイメージを膨らませる

ロジカルは最も重要ですが、それだけでは相手が動く事はありません。

結局聞き手も人間ですから、

自身でイメージを膨らませ、感情が揺さぶられて初めて「OK!」と言いたくなるのです。

「例えば」等の言葉で、そのイメージをサポートするように持っていくことが重要です。

 

私の場合は、

ボスがよくHigh Impact Factorの話をするので、

根拠の論文にHigh Impact Factorのジャーナルを多用し、特徴的なロゴ等をつけてすぐわかるようにしました。

このプロジェクトが成功した時にそれらのジャーナルに仕事が載る事を想像してくれるように。。。

1分で動いてもらう

覚えやすい「超一言」で包み込む。

著者によると、

「人は80%聞いていないし、ほとんど覚えていない」

とのこと。

自身を振り返ってみても・・・そんな気がします。

 

何か覚えやすいキャッチーなキーワードを作り、

自分の伝えたい事を覚えてもらう。

 

また、プレゼンもアーティストと同じと考え、

表現、表情、身振り手振り、抑揚、立ち方、発生、間合い、視線・・・

全て意識し、観客を虜にする一つのステージを作ること。

伝え方のプランを知っておく

  • SDS:Summary-Detail-Summary
  • PRES:Point-Reason-Example-point

等、ググればいくらでも出てきます。

要は時と場合に合わせて一番伝わりやすいロジックを組む事。

 

今回は、

  1. Point(主張を一言で)
  2. Reason 1 - Example 1,2
  3. Reason 2 - Example 3,4
  4. Reason 3 - Example 5,6
  5. Point(まとめ)
  6. Timeline
  7. AdvantageとDisadvantageのまとめ

のような構成にし、

最後に関連したフェローシップに応募できるというダメ出しを入れるようにしました。

(ちょっと姑息で相手に失礼な気もしましたが、「動かしてなんぼ」です。)

実践編

一言でプレゼンと言っても、

講演、会議、上司との対話、取引先、ファシリテーション・・・

場面は様々です。

 

この章では、様々な場面の具体例を作り、細かな対応策が紹介されていました。

私の場合は、「上司との対話」の場面を大いに参考にしました。

 

ポイントは、

「自分と上司との意見の相違点を探り、それをすり合わせていく」

という事。

 

また、

「主観的な自分と客観的な自分を行き来し、

主観的な自分で主張をしっかりと伝え、

客観的な自分で冷静に合意点を探っていく。」

という話も参考になりました。

私の場合

この本に書いてある事を余すことなく取り入れ、

私はスライドを作成し、発表の練習をしました。

 

結果は・・・

 

「すばらしい!すぐに準備に取り掛かるように!」

 

と言われました。

 

だいぶ構えていたので、すんなり通って逆に驚きです。

でも、通った理由は説明できます。

これからも、ここに記載されている内容を常に意識しながら、プレゼンしていきたいと思います。

 

ヤフーアカデミア学長にしてグロービス講師。孫社長にも一目置かれた伝説の「伝え方」!

 

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