「子どもには自信を持ってのびのびと生きてほしい」
と思うのは、どの親にとっても共通の願いなのではないでしょうか?
けれども、自分のちょっとした一言で子どもが傷ついたり、自信を無くしたりしていたら……
日頃の言動のどのような部分に気をつけると良いのか、気になって読んでみました。
「子どもの自己効力感を育む本」のあらすじと感想
著者は、コロンビア大学で臨床心理学の修士、秋田大学で公衆衛生学の博士号をとり、大学でカウンセリングと心理学講義を担当した後、ニューヨークライフバランス研究所を設立。
現在はオンラインサロンなどでポジティブ心理学を広めているそうです。
彼女自身も子育てに悩んだ経験があり、私達と同じ目線で語りかけてくれます。
自己効力感とは
本書では、自己効力感を「結果を恐れずに挑戦する力」と定義されています。
- 自分は周囲の人や物事に影響を与えられる人なのだという「信念」
- 自分は課題を解決し、目標を達成できるという「自信」
- 今はできなくても、努力すれば将来できるかもしれないという「希望」
子どもの自己効力感が育つ瞬間は、
- そのプロセス自体が楽しそうと好奇心が湧くとき
- そのプロセスで努力することで自分の能力が伸びると思えるとき
- そのこと自体に意味があると感じているとき
子どもはもともと自己効力感を持って生まれてきます。
親が育むべきは、そんな子どもたちの
「やってみよう」
とおもう気持ちを大切に育てること。
何があっても前向きに生きる「自己効力感の高い人」になってほしい……
けれども、お母さん達が良かれと思った声掛けが、時に子どもの自己効力感を損なう事があるということです。
自己効力感を育てる声かけ
第2章では、様々な具体例を示しながら、各場面でのNGワードと、どのように声をかけるべきかが紹介されています。
色々なケーススタディが紹介されていますが、ここでは、私が特に印象に残った2点について書き留めておきます。
子どもの能力を褒めない
私が最も印象に残ったのが、
「頭がいいね。」
「上手だね。」
など、子どもの能力を褒めるのはNGだと言うこと……私はよくやっていました。
なぜ、能力を褒めるのはだめなのか。
それは、
「自分の能力は遺伝等によって決まっており、できることはでき、できないことは頑張ってもできない。」
という考えを植え付けてしまうから、だそうです。
また、
「あなたは賢いからできるよ」
「やれできる子だよ」
などの声かけも、
親の理想に沿わなければダメなんだ、という呪いの言葉となります。
いつもそのような褒め方をされていると、逆に失敗を恐れて
「ちゃんとできること」しか挑戦しなくなるとのこと。
……なんとなく心当たりがあります。
ではどうしたら良いか、というと、
「能力や結果ではなく、プロセスを褒める」
とのこと。
「たくさん頑張っていたから○○になったね。」
「すごく工夫してたからこんなによくなったね。」
など、目標に向かって努力したプロセスに注目するということです。
これにより、子どもたちは頑張っている過程に価値を見出し、結果を恐れずに挑戦していけるそうです。
他人と比較して褒めない
例えば、学校の試験で1番をとったり、何かの大会で優勝したり……
そんな時、頑張った子どもを褒めたくなりますが、
「1番とったなんて凄いね。」
などの声かけはNG。
なぜなら、
「他人と比較して自分の能力が優れている」
という理由で得られる自己肯定感は非常に壊れやすいもの
だから。
以前、著者が大学でカウンセリングをしていた頃、地方出身の優等生達の中で苦しんでいる学生がとても多かったとのこと。
彼らは小さな田舎町で神童と言われてそだったため、ずば抜けて頭の良いことだけが自分のアイデンティティでした。
ところが大学へ進んでみると、自分より頭のいい人がゴロゴロいるわけで、自分に対する自信を無くしてしまっていたそう。
今の私が自分に対する自信を完全に喪失しているのも、根底にそれと似たような理由があるように思います。
他人との比較で得られる自己満足感ほど崩れやすいものはありません。
子ども達に自分と同じ思いをさせないよう、
子ども自身の努力や成長のプロセスに目を向けた声かけを、今後心がけていきたいと思います。