きりひと讃歌

きりひと讃歌(手塚 治虫)

きりひと讃歌

手塚作品を読み返し中。

この「きりひと讃歌」は、学生時代に読んだ事がなかったのですが、

他の人達の評価が高くて気になっていました。

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「きりひと讃歌」のあらすじ

「きりひと」というのは、主人公「小山内桐人」の名前です。

彼自身は真面目で才能のある医師でしたが、教授の陰謀により医局を追放され、謎の病気「モンモウ病」に罹患して骨格が犬のように変貌し、

人々から蔑視されながら放浪する事になります。

「モンモウ病」というのは本作品の主軸となる架空の病気ですが、

激しい頭痛で発症し、獣のように生肉を食べ、骨格系に異常をきたして外観が犬のように変貌し、最後は呼吸系に異常をきたして亡くなります。

 

四国の山間の村で発生する奇病とされていますが、原因はわかっていませんでした。

大阪の大学病院の教授は伝染病だと考えていましたが、小山内は風土病だと主張しました。

この意見の相違により教授から疎まれ、小山内は、表向きは現地調査という名目で現地へ派遣され、そのまま医局を追放されます。

彼はそこでモンモウ病に罹患し、原因が現地の水である事を突き止めます。

その水を飲まなくなってから病気の進行は止まりましたが、彼の風貌は元には戻らず、

その外見のために、見世物にされたりして不遇を強いられる事になります。

「きりひと讃歌」の感想

手塚さんは、人間達の弱さや卑怯な一面を表現するのが本当に上手だなーと思います。

外見が奇妙というだけで、人々はその人を蔑視し、嘲笑し、平気で人権を踏みにじります。

一方で、その人の内面を知り、尊敬することもできます。

 

個人的に印象に残ったのは、小山内が勤めていた大学病院の教授の行動でした。

自説を立証するために、卑怯な手段を使って反対意見をねじ伏せ、世界にいち早く公表しようとしますが、

その後、その仮説の穴を指摘され、苦しい立場に立たされます。

自らもモンモウ病に罹患し、躍起になって部下たちに原因を調べさせた結果、自説が間違っている事を示す証拠が見つかり、呆然とします。

モンモウ病の原因を世界で一番最初に同定し発表すれば、華々しく報道され、栄光をつかむ事になりますが、

彼の目的はその栄光にあったため、自説を立証するための行動の一つ一つを間違えていくのです。

研究生活をしている自分は、この事を強く意識するべきだと思いました。

 

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