ソフトバンクグループジャパン株式会社代表取締役、孫正義氏。
彼の伝記的な話はいくつか聞いていたのですが、
この本には彼の生い立ちから学生時代、企業後、大病中、そして復帰後の大仕事……と、全力で進んでいく孫氏の生き様が生き生きと書かれていて、
大変面白く、そして勉強になる一冊でした。
アメリカ留学について
孫氏は、久留米大附設高校という、九州で2番目に偏差値の高い進学校に進学していますが、
一ヶ月の語学留学中に、
「学校をやめてアメリカの高校に留学する」
という事を決心します。
その時、母親は勿論心配して反対しましたが、病床中の父親は理解を示し、
本当に学校を中退してアメリカの高校1年生に編入します。
さらに飛び級して大学入試受験用の資格試験を受け、なんと3週間で大学に入学してしまいます。
それだけでも凄い事ですが、
大学在学中に、生活費を稼ぐ為に特許取得に走り、そのまま起業し……
と、常識では考えられない発想と行動力を発揮します。
私が中学生の時、母に「留学させてほしい」と頼んだ事があったのですが、その時は
「まだ早いから勘弁してほしい。大学を出たら好きにしていいから。」
と言われ、留学を諦めました。
そしてそのまま医学部に入り、国家試験、研修医……と目の前の事に追われて、留学は後回しになりました。
やっとこの歳になってアメリカに来ましたが、
年齢や養うべき家族というファクターを持った状態での留学で学べる事は、若いうちに留学した場合の数パーセントにも満たないと感じています。
勿論、そんな人生を選んだのは自分なので、後悔したくはないですが、
もし学生時代にこの本を読んでいたら、私は間違いなく学校をやめて留学していた事でしょう。
面白かった話と考えさせられた話
一番笑ったのが、アメリカ留学中に一目惚れし、飛び級までして一緒の大学に入り、心を射止めた今の奥様との結婚式を、2回も忘れてしまった話。
当時、自動翻訳機という画期的な装置が完成し、「記念すべき日だ!」と飛び上がって喜んでいたら、
その日は 別の意味で記念すべき日(結婚式の日)のはずだったということ。
慌てて待ち合わせの裁判所に駆け込んだが、孫氏が到着したのは午後5時過ぎ(待ち合わせは午後2時)。
判事もとっくに帰っていて、その日は結婚式を挙げられなかったそうです。
アポイントメントを取り直して、「次こそは絶対忘れないぞ」と誓ったのに、またしても当日仕事に没頭して結婚式を忘れ、
大遅刻してなんとか結婚式を挙げられたそう。
夢中になると結婚式まで忘れてしまう孫氏もさることながら、そんな彼と結婚した奥様も、かなり器の大きい方なんじゃないかと思いました。
また、事業が大きくなっている最中に彼が大病を患い、死と向きあいながら病気と戦っていた事は、今まで知りませんでした。
相当な苦しみがあったんじゃないかと思います。
全体の感想
この本の中にかかれている話は、どれもエネルギーに満ち溢れていて、
「志高く」というタイトルに相応しい内容だと思いました。
この本を読んだ時の年齢が若ければ若いほど、その人の人生が変わるような気がします。
ただ、私も今からできることを考えながら、孫氏の生き様からできるだけ多くの事を学び、行動に移したいと思いました。
子どもたちがもう少し大きくなったら、彼らにも読んでほしいです。