自分の中に毒を持て

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★★★★

最大の敵は自分ー自分を殺せー

 

「芸術は爆発だ」の名言で知られる岡本太郎氏。

仕事で時々京都から大阪へ向かう事があったですが、その道中で列車から見える「太陽の塔」にはいつも圧倒されていました。

 

この本では、彼の半生を綴りながら、

人生観・世界観について、

非常に力強い言葉で語られていました。

 

言葉の一つ一つにも特に強烈なこだわりを持ち、

全ての文章から、言いようのないエネルギーを感じます。

 

"自分を大事にして自分を守ろうとするからいけないんだ"

"過去にこだわり未来でごまかしていては、現在を本当に生きる事はできない"

"相対的なプライドではなくて、絶対感を持つこと"

"朝起きてから寝るまで、瞬間瞬間の闘い"

 

この世に生を受けた瞬間から、自分の人生・刹那を全力で生きる…

彼の信念に触れながら、私は自分の10代・20代の頃の事を思い返していました。

 

彼の人生は、まさしく

「出る釘は打たれる」の連続で、

打たれても打たれても「出る」「出ずにはいられない」と語られていました。

 

私も、「出る釘」だったところがあり、

母親から

「もっとうまく生きないと大変よ。」

と諭されましたが、

「私は壁にぶつかって砕けて、そこから学んで生きたい。」

と答えていました。

 

そこには、未熟ならではの不安定さと美しさ、そして膨張するエネルギーがあったように思います。

当時の私がこの本を読んでいたら、今以上に感銘を受けていたことでしょう。

 

 

一方で、様々な経験を経て、

今の私には、当時と違う価値観も生まれています。

 

本書を読んでいて特にそれを感じたのは、「結婚」「子供を持つこと」についてです。

 

本書の中で、岡本氏は、

「打算のない純粋な恋愛」に美しさを感じ、

「結婚は人生の墓場である」

として、結婚という法的な枠に縛られた人生に否定的な意見が語られていました。

また、「自分が自分の親であり息子である」として、

子供を持つ事に対しても否定的でした。

 

常に自分と闘い、自分を壊して作り変える道を歩んできた岡本氏ならではの考えだと思います。

 

私も、特に10代後半の頃、計算のない恋愛、胸が押しつぶされるような失恋がありました。

自分はとても未熟で不安定で、そこから生じるエネルギーは際限がないようでした。

当時、ある年上の女性から

「あなたを好きになる人達は、多分あなたのその不安定なところに惹かれるんだと思うわ。」

と言われた事があり、なんとなくわかる気がします。

当時の私の生き方は、どちらかというと、岡本氏の肯定する生き方に近かったんじゃないかと思います。

 

しかしながら、私は当時の自分よりも、

結婚し、夫や子供達と毎日を生きる、今の自分の方が好きです。

 

結婚は、法律上の縛りですが、

「一人の人と向き合い、

自分と相手の長所と短所を理解し、

それをうまく融合させて共に歩んでいく」

という必要性に迫られます。

そこには、自分だけを見つめて生きてきた頃の、何十倍もの洞察力と思考力、そして思いやりの心が必要となります。

これは自分を、違う次元へと、現在進行系で押し上げてくれているように思います。

 

また、子供達は、

自分と違う人格を持っていながら、

自分を絶対的に必要としてくれる、

稀有でありがたい存在です。

 

夫は大人なので、ある程度の共通概念がありますが、

子供には未経験な事も多いので、

彼らとの生活の中では、

さらに自分を客観視し、人間の本能や理性等について考えていなければなりません。

 

「子供を通して親も成長する」

といいますが、

私もそれを日々実感しています。

 



 

と、共感する部分や共感しない部分、全て含めて、

この本は私に色々な事を考えさせてくれました。

読む時期が違うと、また違った考えが浮かんでくるように思います。

少し経ってから、また読み返してみようと思います。

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